1ヵ月後。
「Levelは上がった?」
「うっわ、出た! 馬鹿魔王!」



[勇者と魔王2]



「馬鹿とは何だね、勇者」
「馬鹿の意味もわかんねーのか?」
「違う違う。“何てこと言うんだ”ってことだよ」

ふふんと粋がったLevel101(上がった)の勇者に魔王はオマエに言われたかねーよと毒舌を吐いた。

「Levelが上がったって聞いたんだけど、何Levelに上がったの?」
…………Level101…………
「……ふーーん。へぇーーー」

魔王は嫌味たっぷりに感嘆の声を出した。

「そっそういう魔王は、何Levelに成ったんだよ!」
「ん? Level888だけど?」
「ありえねぇ?! 何で短時間で111もLevelが上がるんだよ!」
「実力?」

さらりと嫌味を吐く、魔王。
そして、疑問系だ。

「きぃ! 悔しいぃ!!」
「あははははは」

Level101の勇者は地団駄を踏んだ。

「どうやって、そんなに上げたんだよ!」
「えーっと、“鏡闇の間”とかかな……」
「……何、それ?」
「君、勇者だよね……?」

魔王は怪訝な目でLevel101の勇者を見た。
勇者は怯んだ。

「“鏡闇の間”っていうのはね、自分と同じ力の自分と戦えるんだ」
「相打ちになるじゃん!」
「頭を使うんだよ。最初の一撃でのしてもいいし、体力の消耗を狙うって言う手もある」
「ふぅん……で、どれくらいLevelは上がるんだ?」
「10も上がらないよ?」
「は?」

勇者は首を傾げた。

「全然上がんねぇじゃん!」
「あぁ、私は前戦に行ってたからね」
「?」
「俺は魔王で、君以外の勇者もいるんだよ?」
「あ……」
「でも、大丈夫だよ。君と戦うまでは倒されないから」
「……? ……うん」


魔王は微笑んでその場から去っていった。


「あっ! 鏡闇の間が何処にあるか聞くの忘れてたわ!!」



今日も、世界は平和だ。




勇者と魔王作品ページ勇者と魔王3
20040613