「そういえば、聖玉付けてる?」
「主語を外して話すの止めてくれ」
[勇者と魔王4]
「……剣ニ聖玉ヲ付ケテマスカ」
「何でカタコトなんだよ」
勇者は怪訝な眼で魔王を見た。
「……で、聖玉って何?」
「…………勇者?」
魔王は不信な目で勇者を見る。
勇者は堪えた。
「聖玉っていうのは武器につける創精霊の源みたいな感じかな。それがないと、創精霊のLevelが上がらないんだ」
「へー」
「それに、聖玉が無いと物質的効果しか表さないしね」
「ふーん」
魔王は得意になって話した。
勇者はあまり聞く気が無いようだ。
「……聞いてる?」
「うん」
魔王は勇者を見た。
勇者は本を読んでいる。
「聞いてないじゃん」
「聞いてる聞いてる。で、質問!」
「はい。勇者:劉」
勇者は手を上げた。
魔王は勇者:劉を当てた。
「創精霊って何?」
「……勇者……私は情けないよ……」
魔王は肩を落とした。
勇者は膨れた。
「創精霊って言うのは精霊が入っていない無精霊状態の武器につける精霊のことだよ」
「んで、聖玉ってのは何処に売ってるんだ?」
「……聖玉堂って所で売ってるよ。1つ目は貰えるんだよ?」
「へー。貰えるんだ……」
「でも、2つ目は買わなきゃ駄目だよ?」
「2つ目?」
魔王は勇者の顔を見てから、大袈裟な溜息を吐いた。
勇者はその顏にしかめる。
「属性を変えたり、2つ目の武器を持つ場合は買わなくちゃいけないんだよ」
「ふーん。そうなんだ」
「そうなんだよ。で、付けてるの?」
「聖玉は付けてない」
魔王は、やっぱり……という顔をした。勇者はあっけらかんとしている。
「そんな、あからさまな顔すんなよ!!」
「……じゃあ、創精霊は憑いてるよね……?」
「創精霊って俗称は知らなかった」
勇者は当たり前だろという顔をした。魔王は呆れと焦りを安堵でかきけした。
トントン……勇者は剣の柄頭を指で軽く叩いた。
「出てこい……
月焔舜華」
名を呼ばれた剣から、緋色の髪と眼をもつコドモが現れた。
「あいあーいっ☆お呼びですか、劉様っ!月と炎を司る聖なる剣の従者、フィアですっ!!」
「ほぅ……。これが勇者のLevel無の
月焔舜華か」
「
これってなんだよ!俺の精霊だぞ!!」
「だから、男言葉は止めてって……」
魔王は苦笑する。
勇者はプクッと頬を膨らます。
フィアはムスッとしている。
「っつーわけで、精霊出したんだから、お前の見せろ」
「今、剣無いよ。っていうかね、聖玉つけてから来たら見せてあげるよ」
「絶対だぞ!!行くぞ、フィア!!」
勇者は叫んで走り去った。
魔王はそこに佇んでいた。
「っつーか、
劉様にちょっかい出すなよ、馬鹿魔王」
「え゛……?」
フィアは、重低音で魔王に毒舌を言い放った。
フィアのタメ口毒舌で流石の魔王も吃驚☆
「あ……あの……フィアくん?」
「オマエなんかが愛称で呼ぶんじゃねーよ、ボケが!!」
フィアは暴言を吐き、勇者の元へ去った。
魔王は、呆然としている。
「えーっと……勇者の前と、キャラ違うくない?」
流石の魔王も立ち尽くしてしまったようで。
取り敢えず、頑張れ魔王!
生徒(勇者)は今だ、反抗期だ!!
勇者と魔王3|
作品ページ|
勇者と魔王5
20040920